2013/09/28

Welcome to the world !

<顔が緑色だよ、と突っ込まれた出産後の疲れ果てた姿>
麻酔が効いてきて、下半身が動かず、陣痛すら全く感じなくなってきた私。
Dr.Watsonが人工的に破水をしたようなのですが、もちろん私には何の感覚もありません。
・・・が、部屋の空気が言葉通り「ガラッ」と変わったことに気づきました。
ナースと先生が一斉にモニターを凝視。

何か不吉な雰囲気です。

ナースが私の身体を横にしたり、腰から下の移置を変えられたりしました。
いったい何が起こってるのか分からない私をよそに、先生とナースの表情がどんどん曇っていくのがわかりました。
本来なら、破水して本陣痛を起こさせる時点で赤ちゃんの心音は正常なリズムを保ったままでなければいけないのですが、あろうことか心拍数がどんどん下がっていっているというのです。
心拍数が一定のレベルを超えて下がってしまうと、母子共に危険が伴うことになってしまいます。
先生が何か一言発したかと思ったら、次の瞬間、ナースたちが目にも止まらぬ早業で、ありとあらゆるコードを引っこ抜き始めました。
私のベッドは数人のナースに囲まれ、ほぼ何の説明もされないまま、部屋から出されました。
ジョーダンがベッドに駆け寄ってきたので、「な・・・何が起きてるの??」と尋ねると、「もしかしたらお腹切るかもしれない!Scrubsに着替えたらすぐ行くから!愛してるよ!」と、ジョーダンも混乱状態なのがわかりました。

お腹を切る?! 帝王切開ってこと?!

全く予期せぬ展開です。
この9か月間頭に描いていた、というかイメージトレーニングしてきた出産風景とは180度違います。
先生やナース、ジョーダンに励まされながら「うーーーーっ!」といきんでいきんで、赤ちゃんを産み落とすという情景はそこにはもうありませんでした。ゼロです。Nada。
まぶしいほど真っ白な手術室に担ぎ込まれ、ベッドから手術台にプラスチックの板のようなものを使ってスライドさせられました。
いつも軽いノリの優しいDr.Watsonが、ナースたちの動きにイラつきを隠せず、「そんなのはあとでいいからこっちが先!早く!」ときつい口調で焦っているのが耳に入ってきて、それがもっと恐怖感を煽ります。いつも平穏な人が焦ってると怖くなるよね・・・?
私の顔から下は見えないように幕?が張られました。
温度の低い手術室で、麻酔が効いていることもあり、震えが止まらない私の頭上に麻酔医のマイケルが駆け足で登場しました。
Dr.Watsonの指示で麻酔の量を増量したようでした。
マイケルは私の頭をなでながら、今起こっているこの状況を丁寧に説明してくれ、幕の向こうで行われている帝王切開(C-section)の実況中継をしてくれました。
「大丈夫、落ち着いてね。心配ないよ。」と何度も言って私を安心させようとしているのが伝わってきました。
下半身の感覚はないものの、微妙に何かを感じる瞬間もありました。
サーッ・・・と股の間を水のようなものが流れ出ていく感覚があり、そのあとにお腹がいきなり「ふわっ」と軽くなったのです!
この瞬間、『あ、今出たな。』と冷静に感じたのを覚えています。
手術室に入ったのが7時45分くらいで、結局出産時刻は7時59分。
ものの14分の出来事でした。
麻酔医マイケルも「はい、今出たよ。元気な赤ちゃんだよ。」と教えてくれました。
そしてジョーダンが遅ればせながら手術室に入ってきて、私の枕元にやってきました。
手を握って、そして「もう大丈夫だよ!産まれたよ!」とおでこにキスしました。
私の意識は朦朧としながらも、意外と細かいことを覚えています。
元気な赤ちゃんだよ、と告げられて、耳を澄ましても「おぎゃー!」という泣き声は聞こえません。
え?本当に大丈夫なの??と不安になったその瞬間、向こうのほうで「ひぃーーっ!」という何ともか細い泣き声が聞こえてきました。
ナースがきれいに拭いてくれた赤ちゃんをジョーダンが抱いて私の枕元に連れてきました。
でもこの時点で私は、麻酔の影響で強烈な眠気に襲われ、どうしてもまぶたを開いていることができず、一瞬赤ちゃんを見ただけでスッコーンと眠りに落ちてしまいました・・・。
カンガルーケアとかまるでしてません。

傷跡の縫合も終わり、手術室から別室へ移動させられ、そこで30分~1時間弱寝かされていました。半分寝てて半分起きてるような変な感じでした。まぶたは重くて開けていられないのに、耳からはいろんな音が聞こえてくる、っていうような。
意識がはっきりと戻ってから、ジョーダンとその他家族が待っている部屋へベッドのまま移動。
顔が緑色だけど大丈夫?とジョーダンに言われたのを覚えています。
赤ちゃんも同じ部屋にいました。
ジョーダンが「赤ちゃん見たいでしょ?」と言って、ベッドサイドに連れてきてくれました。
そしてDr.Watsonも登場。
どうして帝王切開にしなければならない状況になってしまったか、傷口の縫合はどのようになっているか、などなどを説明してくれました。
先生自身も「6cmも開いててお腹を切るのは非常にもったいなかったけれども、赤ちゃんの命を救うには仕方がない選択だった。」と言っていました。
おかげさまでアトラスは無事産まれることができたわけで、傷跡が残ろうがなんだろうが、先生に感謝です。
先生ありがとうございました。

というわけで、無事に出産できたわけですが、ベッドの上でさっきまでお腹の中にいたアトラスと一緒に添い寝してみても、あまりにも慌ただしくわけわからぬまま産まれてしまったせいか、「自分の子供」であるという実感は全然ありませんでした。
産まれた瞬間、涙が出た、人生が変わった、というようを聞いたり、テレビで見たりしていたせいか、あまりにも自分の経験がそれらとはかけ離れたものすぎて・・・。
でも、日本にいる友達が「赤ちゃんと一緒に生活していって初めて『ああ、私はこの子のお母さんなんだな』って思うようになるから。産まれてすぐに母親になった実感なんてないよ。」と言っていたのを思い出し、ちょっと一息つくことができました。

<つづく>

4 件のコメント:

  1. 今 思い出しても 怖い…
    本当に 無事で良かった、二人とも。
    そして 本当に 先生の素早い判断と素晴らしいスタッフ方たちのチームワーク!

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    1. さすが評判のいい病院だったね。助かって本当に良かった。

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  2. とにもかくにも無事にアトラス君が産まれてきて良かった、病院のスタッフの方々に感謝感謝。
    紘子も良く頑張ったね。

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    1. こういった緊急事態には、すべての作業?を7分以下でこなさなければいけないらしい。ジョーダンによるとOP室にはナース8人、医師2人がいたらしい。

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